近年働き方が大きく変わっている社会事情があります。会社員に限らず、看護師の働き方も変化が起きています。看護師は病院だけでなく、在宅医療が必要な患者の自宅に訪問する「訪問看護」が増えています。
訪問看護のニーズが高まっています。今回は訪問看護とは何か、仕事内容は何か、気になる給料から向いている人はどんな人かを見ていきましょう。
訪問看護に興味がある方は、介護系で転職をしたいという方で参考にして、納得のいく転職を実現させてくださいね。

今回は介護の仕事の中でも、訪問介護について詳しく解説していきます!
目次
訪問看護とは?

在宅で過ごしている傷病や障害を持っている方のもとに看護師が訪問し、医療的なケアと生活のサポートをするサービスです。通院が難しい患者さんにとっては便利なサービスです。看護師や准看護師だけでなく、理学療法士、言語聴覚士などリハビリ専門の方も活躍しています。
病院に入院する必要がないので、生活に慣れている自宅で療養を望んでいる人をサポートするのが訪問介護の仕事であるため、今後利用者は増えてくると予想されます。
①訪問看護師が働く場所
訪問看護師が働く場所は訪問介護ステーション、訪問看護事業を行っている病院等になります。以下のグラフは訪問看護ステーション数の推移になります。

近年では在宅医療の需要も高まりつつあるので、訪問看護ステーションの事業所数は増加している事が分かります。
その一方で訪問看護を行う病院やクリニックの数は減少傾向にあります。
②訪問看護の役割
2025年には団塊の世代が70代を迎えます。厚生労働省で「在宅医療の推進」「地域包括ケアシステム」のサービス提供構築を推進しています。高齢者が住み慣れた地域で生活が出来るように医療、介護サービスを包括的にサポートする制度です。
訪問看護は今後こういった体制になるときには大きな役割を担う事になります。
③訪問看護の従事者数
2019年度時点で訪問看護従事者数は、訪問介護の訪問介護員は508,256人、通所介護の介護職員は221,813人、介護老人福祉施設の介護職員は289,271人、介護老人保健施設の介護職員は128,897人です。
引用:訪問看護の現状とこれから 2021年版 - 日本訪問看護財団
訪問看護の仕事内容

訪問看護は患者の自宅へ訪問し、医師の指示書などをもとにケアをします。基本的には病院で行うような療養ですが、医療機関での業務内容とは若干異なる部分もあります。それについて詳しく見てみましょう。
①健康状態の管理
体温・血圧・呼吸などを記録します。自宅での過ごし方も踏まえてサポートします。
②医療処置
主治医の指示をもとに点滴の管理などの医療処置を行います。
③患者の日常生活のサポート
栄養管理や食事、入浴などの日常的なサポートを行います。患者さんが安心して暮らせるように衛生面・健康面を気にかけています。
④リハビリ
リハビリが必要な場合は、訪問看護師が行う場合もあります。寝たきり予防のケアや身体機能回復のリハビリ等
⑤家族の支援・相談
患者さんの悩みはもちろん、その家族の悩みや不安など困っている事をしっかりヒアリングしていく事も訪問看護の仕事になります。悩みをしっかり聞いてご家族の方にも安心してくれるサポートを大事にする事が大切になります。
訪問看護の1日

訪問看護の1日のスケジュールを見てみましょう。
※あくまで一例であり、全ての訪問看護師がそうとは限りません。
9:00 出勤/ミーティング
訪問看護ステーションに出勤後、電話やメール対応を行います。ミーティングでは訪問の流れや患者さんの情報共有をします。
9:30 訪問看護開始
準備が完了したら出発します。午前中の訪問件数は1日1〜3件です。日によってばらつきはあります。
12:00 昼食
看護ステーションに戻り昼食をとります。
13:00 再び訪問看護に出発
午後の訪問件数は2件~3件程度です。
16:30 看護ステーションに帰社
訪問を終えたらステーションに戻ります。患者さんの看護記録の記入や、報告書の作成などをします。
17:30 勤務終了
翌日のスケジュール管理や準備を終えたら勤務終了です
訪問看護師の1日のスケジュールはこんな感じです。イメージは付きましたでしょうか。1日合計で4件~6件ほどの患者さん宅に訪問している事がわかりましたね。
訪問介護のメリット・デメリット
訪問看護の仕事内容や1日のスケジュールは分かりました。ここで訪問看護師としてのメリット・デメリットを見てみましょう。
訪問介護のメリット
- 夜勤が少ないのに給料が高い
- ワークライフバランスがとりやすい
- 在宅医療に関するスキルが習得出来る
病棟勤務と違い、患者の自宅を訪問し看護サービスを提供出来るので生活に寄り添い信頼関係が築きやすいです。また、基本的に日中での業務なので夜勤はありません。日勤での賃金が高く設定されているので、主婦の方は家事や育児と両立しやすいのでワークライフバランスは取りやすいといえます。
今後、訪問看護の需要は高まると予想されるので、在宅医療のスキルを身につける事は今後の看護師としての選択肢を大きく広げるきっかけにもなるでしょう。
訪問介護のデメリット
- 急な対応が入る事がある
- 1人での仕事なので責任が必要
訪問看護は基本的に1人での仕事になります。患者との信頼関係も必要となり、何か問題があった際の対応もしないといけません。責任が病棟勤務より大きいと認識しておくといいでしょう。
訪問介護の年収は?

訪問看護師の年収は以下の通りです。
年収 | 434万円 |
月給 | 30.9万円 |
時給 | 1900~2200円 |
訪問看護は病棟勤務で夜勤をしている看護師より年収は下がってしまいますが、日勤のみの勤務で、夜勤勤務がないと考えたときには比較的年収は高いといえます。
訪問介護に向いている人

訪問看護師に向いている人は以下の通りです。
- コミュニケーションがしっかり取れる人
- 責任感があり、臨機応変に対応出来る人
- 人と接する事が得意な人
訪問看護師は患者さんの自宅で療養を行うので、コミュニケーション能力がとても大切です。患者さんだけでなく、そのご家族とのヒアリング等もあります。医師やケアマネジャーとの連携も必要になります。
また、1人で仕事をする事が多いので、患者さんにしっかり寄り添い、何か起きたときでもすぐに対応出来る臨機応変さと責任能力も必要となります。自分で考えて行動出来る事が得意な人は訪問看護に向いています。
まとめ

今回は訪問看護師の仕事内容についてまとめました。2025年には団塊の世代が75歳を迎えます。今後、在宅医療のニーズが高まるので「訪問看護師」として働く場が増えて、訪問看護師の人口も増えると予想出来ます。実際に訪問看護ステーションは毎年増えてきています。今後もその傾向となるでしょう。
看護師としてのキャリアを考える時に、一般病棟以外の選択肢も視野に入れるといいでしょう。育児や家事を両立する事が出来るのが訪問看護のメリットです。
この機会に看護師として働く上で、どこがいい職場なのか、働き方なのかを考えてみてはいかがでしょうか。
今回はこれで以上です。